医療の現場から『研修医日誌』(2016.04)

JCHO札幌北辰病院初期臨床研修医2年目の矢吹です。早いもので研修医生活も2年目に入りました。研修医生活1年目はつまり社会人1年目でもあり、社会人として、一人の大人として責任ある行動が求められ、今までの学生生活ではなかった緊張感があり、毎日が新鮮でした。振り返ると研修医1年目の最初の時期は病院という環境に慣れるだけで精一杯で、指導医についていくだけの受け身の姿勢でしか毎日を過ごすことが出来ませんでした。社会人としての自覚も足らず、周りの方々に助けられる毎日でした。しかし後半にもなると、少しだけ心の余裕ができ、さらに一歩踏み込んで何事にも取り組もう!率先して治療に参加していこう!と意欲的に研修医生活を過ごせました。

研修医になって実感することは、いかに患者さんから学ぶことが多いかということです。教科書から得られることには限界があります。学生の時のように、教科書の勉強だけでは通用しない場が病院であり、医師という職業であると思います。どんなにたくさんの知識があっても患者さんに対して、人と人との関わりが出来ない医師は、その患者さんに最適な医療を行えないし、また患者さんだけではなく医療従事者とも良好な関係を築いていくことができないと思います。患者さんのその日の状態を検査結果や画像データだけで評価するのではなく、その日の会話や声色、雰囲気などから些細な変化にも気付いて診察を行っていけるような医師になりたいです。

1人の患者さんを診るのに、医師、看護師、薬剤師、放射線技師、臨床検査技師、医療事務...など、それぞれの医療従事者が重要とするポイント、その患者さんを診ている視点が違います。研修医の期間は医師の視点だけではなく様々な角度から患者さんを診ることが重要だと思います。この1年間だけでも実に多くのことを医師以外の医療従事者の方から教えていただきました。医療はチームで行うものであり、医師一人でできることは限られます。患者さんを中心としてチームで動いていることを念頭に、チームワークを大切にした医療を他職種の医療従事者と共に足並みそろえて提供していけるような医師になりたいです。

毎日が慌ただしく過ぎ、気付いたら今日が始まっていて、いつの間にか次の日になっているような生活で、なんだか落ち着かない日々ですが、こうして医師として働いていられる状況に感謝しながら頑張っていきたいです。

(JCHO札幌北辰病院 初期臨床研修医 矢吹 郁美)

< 戻る     次へ >

「医療の現場から」一覧へ戻る