厚生労働省より発表された「平成24年国民健康・栄養調査」の結果では、わが国で糖尿病が強く疑われる人は約950万人、糖尿病の予備軍が約1,100万人いると推定されています。2011年(平成23年)人口動態統計月報年計(概数)の概況では、死亡原因としての糖尿病は下位(男は圏外、女は10位)ではありますが、死亡原因上位の脳卒中や虚血性疾患、悪性新生物のリスクであることや、糖尿病腎症や神経障害など糖尿病に関連した合併症が重要な問題となっています。
第二次大戦後、糖尿病患者が自動車の登録台数に比例して増加したことから、運動不足に加え食生活習慣の変化による影響が大きいことが示唆されています。糖尿病、高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病では、治療の継続が必要です。とりわけ糖尿病は治療中断が合併症の発症や進展に繋がることが多いですが、生活習慣の改善が思わしくなくても、通院行動を継続する限り望ましい治療行動に修正できる可能性はあるといわれています。管理栄養士はその治療の一端を担い、できる限りの継続栄養食事指導を目標としています。
当病院の管理栄養士は6名が糖尿病療養指導士の資格を有し、日本糖尿病学会専門医の指導の下、入院個人栄養食事指導、外来個人栄養食事指導、集団栄養食事指導、糖尿病透析予防指導を行っています。
個人栄養指導は、入院時は各病棟担当の管理栄養士が食事療法の基本や治療食を通して退院後に向けた栄養食事指導を行い、外来では管理栄養士2名が退院後のフォローや外来患者様への食事療法の基本のほか、外食や間食、アルコールなど実際の個々の食生活環境に合わせた指導を行っています。そのほか、体組成計を用いて体重だけではなく体脂肪率や筋肉量などの測定も行いながら指導をしています。
集団栄養指導は年8回(2015年度)、基礎編とテーマ別で開催しています。
基礎編では個々に合わせた病院食を実際に食べていただき、食事量や味付けなどを学んでいただいています。テーマ別では果物や飲み物、年末年始など季節に応じたテーマを設けてクイズ形式などを取り入れた参加型で行っています。どちらも毎回好評をいただいており、毎回参加していただいている患者様もいます。
糖尿病透析予防指導では、医師、看護師、管理栄養士で構成されたチームの中で、腎機能低下が見受けられる糖尿病患者を抽出し、患者の同意を得て将来透析に移行しないための指導を行っています。
最近はインターネットやテレビなどの影響で健康志向の強い方が多く、生活習慣も多様化しています。私たち管理栄養士も日々研鑽し患者一人一人に向き合った栄養食事指導を心がけています。
(JCHO札幌北辰病院 管理栄養士 関屋 恒子)