医療の現場から『消化器内科の特長・特色』(2015.07)

 この度、消化器内科に赴任して参りました、福島 拓(ふくしま ひらく)と申します。よろしくお願いいたします。

 一消化器内科医として、消化器内科全般を診療しておりますが、特に、専門分野としておりますのは、「消化管・胆膵腫瘍領域の化学療法」です。食道癌・胃癌・大腸癌・胆道癌・膵癌に対する抗がん剤治療を積極的に行っております。

 固形癌に対する化学療法は臨床医学領域の中でも、特にここ10年で大きく進歩した分野の一つです。分子標的薬と呼ばれる種類の抗がん剤を軸に各がん領域において新規抗がん剤の開発が進んでおり、従来の抗がん剤治療を超える治療効果に加え、副作用も大きく軽減できるようになってきました。さらに、手術や放射線と組み合わせることによって、癌全体の治療成績の向上がみられるようになってきております。

 ただし、残念ながら薬だけの治療で癌を治癒させるのはやはり難しいのが現状です。特に治癒切除が困難な状態の固形癌に対しては、抗がん剤治療により癌を小さくしたり、進行を遅らせることによって、癌と共存していくという選択肢を取らざるを得ない場合が多いです。したがって、抗がん剤治療にとって重要なことは、現状の生活(就労などの社会との関わり)をできるだけ維持しながら治療を継続することであり、副作用の軽減ならびに治療方法の工夫が重要視されております。

 そういった意味で、当院では内服の抗がん剤を積極的に治療に組み入れ、外来化学療法室を完備することで、できるだけ今の生活を続けながら通院で抗がん剤治療を継続できるように努力しております。

 長寿となった日本人にとって、癌は生涯で二人に一人はかかる病気です。大変厳しい病気ではありますが、それを抱える患者さんとご家族に、当科では最大限の治療を行ってまいります。

(JCHO札幌北辰病院 消化器内科 福島 拓)

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