医療の現場から『呼吸器内視鏡検査』(2015.04)

 呼吸器内視鏡(気管支鏡)検査は気管・中枢気管支の病変部位の観察を行ったり、末梢肺野病変の組織・細胞、分泌物(痰)の採取を行う検査で、採取した検体を用いて病理検査や細菌培養検査が行われ、診断確定・治療方針決定に非常に重要な役割を担っています。また呼吸器内視鏡は血痰・喀血の治療、喀痰吸引、気管支異物除去、早期肺癌治療などのendobronchial therapyにも用いられます。

 現在、当科で行っている呼吸器内視鏡検査は気管支内腔観察以外にも直視下経気管支生検・擦過細胞診、肺野末梢病巣生検・擦過細胞診、経気管支針生検、経気管支肺生検(TBLB)、気管支肺胞洗浄(BAL)を行っております。TBLBやBALは間質性肺炎などのびまん性肺疾患の鑑別診断に非常に有用な検査で、呼吸器内科特有な検査になります。

 また当科で行っている呼吸器内視鏡を用いた治療としましては、前記処置・治療以外にも高齢者の難治性気胸に対するシリコン充填物を用いた気管支充填術、悪性腫瘍や良性疾患による気管支狭窄に対するendobronchial intervention(ステント挿入・留置、レーザー治療)など行っております。以下のような症状、所見がある患者様の場合には呼吸器内視鏡検査を行うことがあります。

  1. 痰に血液が混じった場合
  2. 原因不明の咳が続く場合
  3. 胸部レントゲン検査やCT検査で肺に異常陰影が認められ、肺癌や感染症、炎症などが疑われる場合
  4. 喀痰・細胞診検査で、癌細胞を疑う所見がみられる場合
  5. その他、肺、気管支に異常が疑われる場合

これらの患者様がおられましたら呼吸器内科専門医に是非ご相談ください。当科でも速やかに対応しております。

(JCHO札幌北辰病院 呼吸器内科 相坂治彦)

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