医療の現場から『病理診断?』 (2014.07)

皆様が体調不良やけがなどで医療機関を受診される時,医師はどのように診断を進めていくのでしょうか?
「問診」「視診」「触診」「聴診」「打診」などを行い、病気やけがの状態を評価します。さらに必要に応じて血液検査や心電図、レントゲン検査などを行うことはご存じだと思います。
それでは、「病理診断科」は、何をしているのでしょうか?

たとえば内視鏡検査で病変が見つかったとします。その部分から少しだけ採取された組織を検査するのが「生検」と言われる検査です。
通常は組織を赤と青で染色した標本を顕微鏡で見ることから始まります(HE染色といいます)。細胞の顔つきや並び方を確認し、異常が認められたとき、それが何を意味するのかを診断します。炎症の場合もありますし、腫瘍の場合もあります。腫瘍だったときには、それが良性なのか悪性なのかを確定させます。HE染色だけで診断が難しいときには特別な染色法を追加することもあります。
病理診断科では、このようにして診断を進め、結果を臨床医に報告しています。

また、手術中に腫瘍が最小限の切除で確実に摘出されているかの検索を行い、数分程度で手術室に報告することがあります。これによって、身体への負担がより少ない手術が可能になります。

「病理診断科」の医師は皆様と直接お会いすることは滅多にありませんが、このような形で間接的に接しています。当院の診断・治療の高い医療水準を維持することのお手伝いをしていることを少しでも知っていただけますと幸いです。

そのほかに、子宮がん検診や肺がん検診などで行われている「細胞診」や、不幸にして亡くなられたときに死因究明のための「病理解剖」を行っています。こちらについては機会がありましたら書かせていただきたいと思います。

末筆ですが、当科は、地域医療支援病院の一診療科として、連携医療機関からの病理検査依頼も同様の精度を維持してお受けして地域医療に貢献しています。

(JCHO札幌北辰病院 病理診断科 中西勝也)

< 戻る     次へ >

「医療の現場から」一覧へ戻る