医療の現場から『足の血管病:下肢閉塞性動脈硬化症について』 (2014.02.14)

下肢(足)の動脈に動脈硬化が起こり、足を流れる血液が不足し、痛みを伴う歩行障害が起きる血管病を下肢閉塞性動脈硬化症といいます。

典型的な症状は、歩く際に、太ももやふくらはぎに疲れ、だるさ、痛みが生じ、休むとこれらの症状は楽になるというもので、「間歇性跛行(かんけつせいはこう)」と呼びます。更に血流が悪くなると、じっとしていても足が痛むようになり、放置していると足先に治りにくい傷(「潰瘍」)が出現します。ひどい場合は、その部分が壊死を起こし、足の切断が必要になることもあり得ます。

単なる足の病気とあなどってはいけません。足に動脈硬化が進行している方は、心臓の血管(冠動脈)にも約50%、脳の血管にも約20%程度の割合で血管病が合併しているといわれています。足の血管病と分かったら、心臓や脳の動脈硬化も念頭においたケアが必要です。

この病気の検査法ですが、まずは足関節上腕血圧比(ABI)を測定します。これは、足首周囲と腕の血圧を機械で測定するという簡単な検査です。この検査で下肢閉塞性動脈硬化症が疑われる場合は、CT検査や血管エコー検査などで、より詳しく動脈硬化の場所や程度を調べていきます。

治療の基本は飲み薬の治療(薬物治療)です。血液をサラサラにする薬や血管を広げる薬を飲んでいただきます。薬物治療でも十分な効果が得られない場合は、カテーテルという細い管を使用して血管を広げる「カテーテル治療」や外科的な「バイパス手術」を受けることで改善が期待できます。

歩く時の足の痛みや動脈硬化が気になる方は、数分で終わる簡単な検査ですので、まずは足関節上腕血圧比(ABI)測定を受けてはいかがでしょうか。

(札幌社会保険総合病院 循環器内科 内藤和幸)

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