医療の現場から『尿検査からわかること』 (2012.09.12)

検診や外来で症状がないのに尿検査をすることに疑問をもったことはありませんか?

多くの腎臓病が、痛みもなく経過し、気づいた時には大変悲惨な結果を招く(透析導入など)病気だからです。

検診での尿検査では、腎疾患、特に糸球体疾患の早期発見を目的としています。検診で見つかるのは無症候性の蛋白尿・血尿になります。もちろん、その中には、起立性蛋白尿や、運動性蛋白尿・血尿など、一般的には治療の必要のないものも少なくありません。一方で、ごく軽度の異常でも、持続している蛋白尿、血尿は慢性糸球体腎炎(症候群)のサインかもしれないのです。

慢性糸球体腎炎のなかでも最も多いIgA腎症は、20年以上前は対症療法が主でしたが、現在は扁桃摘出術+ステロイドパルス療法など、効果的な治療法があり、予後の悪いと考えられるIgA腎症に関しては、積極的な治療が行われています。腎機能の悪化を防ぐためにも、早期発見が重要と考えられています。

また、外来のときの無症状のときの検尿は、高血圧や糖尿病患者さんが多いため、尿検査で異常がないことを確認することが主な目的となります。2次性の腎疾患による異常を見つけ、悪化を予防するのが主な目的です。

もし、検尿で一度、異常を指摘され、「今は大丈夫」といわれたとしても、再度、異常を指摘された場合には、必ず受診をしてください。腎疾患の場合、慢性的な経過で悪くなることが多く、毎年、同じ異常を指摘され症状がないからといって、大丈夫ではないのです。

(腎臓内科医員 志田玄貴)

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