医療の現場から『耳鼻咽喉科の特長・特色』(2015.04)

 みみ・はな・のどの病気以外にも、あまり知られておりませんが、耳鼻科はめまいや顔面神経麻痺などの神経疾患や、甲状腺癌など頭頸部腫瘍についても診療を行っております。
 当科では3名の耳鼻咽喉科学会認定専門医が診療に当たっており、患者様の希望も踏まえて適切な治療を施行するべく、内科や小児科など複数の診療科と協力して質の高い診療を心懸けています。
 手術についても麻酔科との協力体制により、市中病院としては多くの症例数を維持しております。

小児科領域

当院小児科協力のもと、小児耳鼻咽喉科疾患の治療に力を入れています。
難治な中耳炎に対しては鼓膜チューブ挿入術が有効ですが、まだ小さなお子様には苦痛を伴う治療です。当科は麻酔科との協力体制を構築しており、全身麻酔下での鼓膜チューブ留置手術を日帰り手術で行える数少ない施設です。
また、乳幼児の専門的な聴力検査も行っており、新生児スクリーニング検査や検診にて難聴を指摘された患者様にも対応しております。

難聴・顔面神経麻痺

難聴や顔面神経麻痺は発症してから、速やかに治療することが重要です。当科では急性期の集中的な入院治療を行うことができます。

鼻炎・副鼻腔炎

薬物療法にて難治である場合、外来レーザー治療や、入院での内視鏡下鼻副鼻腔手術を行っております。三人の耳鼻咽喉科専門医による内視鏡モニターのチェックを行い、より安全な手術を心がけております。

内視鏡下鼻副鼻腔手術

睡眠時無呼吸症候群

日中傾眠、作業効率の低下等の症状を引き起こし、重度の場合は突然死や交通事故を引き起こす可能性もあります。
鼻やノドの気道狭窄が原因であることが多く、中には軽い薬物療法にて改善する場合や、癌などの重い疾患が隠れているため、耳鼻咽喉科での診察は必須です。
一泊入院でポリソムノグラフィー(PSG)という検査機器を用いて行っています。脳波や体動を記録でき、正確な診断が可能です。

甲状腺腫瘍、頭頸部腫瘍

症状として自覚されることが少なく、健診などで指摘されてはじめてわかることも多い疾患です。当院では健診にて来院される患者様も多く、健診で甲状腺に腫瘤を指摘されることにより、当科にて手術を受けられる患者様も増えております。
大学病院やがんセンターとも連携した体制をとり、早期の診断から高度な集学的治療まで迅速に対応しております。

(JCHO札幌北辰病院 耳鼻咽喉科 稲村直哉)

< 戻る     次へ >

「医療の現場から」一覧へ戻る