医療の現場から『胸痛外来って知っていますか?』(2015.01)

 この度JCHO札幌北辰病院では専門外来として“胸痛外来”を開設いたしました。
 日常診療では高血圧、糖尿病、脂質異常症、メタボリックシンドロームで多くの患者さんが食事療法や内服治療で通院されているかと思われます。しかし、これらの疾患は症状が非常に乏しくそれらの病気を軽視している患者さんも多いのではないでしょうか?何も辛くないのに何で治療するんだろう?薬を飲んでも何も変わらないなあと治療に疑問をもってらっしゃる患者さんも多いのではないでしょうか。でもこれら症状のない病気は放置すると全身の血管にダメージを与えて血管病になるのが大きな問題です。

 血管病ってなんだろうと思われるかもしれませんが、実はとっても身近な病気です。脳卒中、心臓発作、心筋梗塞、狭心症、下肢末梢動脈疾患はすべて血管病です。この他にも心不全や多くの腎障害、腎不全また目の網膜症は血管病であることが非常に多いのです。そしてこれらの中で急に発症するためにご本人は元よりご家族も非常にびっくりされるのが脳卒中と心臓発作です。特に心臓発作は外からは見えないため患者さんの苦しみは周囲の家族や友人になかなか理解してもらえません。そして困ったことに胸の症状がある場合に診断や治療を急ぐ必要があることが比較的多いのです。

 そこで胸の症状を感じていらっしゃる患者さんが速やかに受診できるように当院では胸痛外来を開設しています。例えば最近になって急に胸痛(胸が重苦しい)や動悸(胸がドキドキする)や失神(気が遠のくようなふらつき)がある場合、それは心臓病の症状かもしれません。特に高血圧、糖尿病、脂質異常症などを指摘されたことのある方は心臓病のリスクが高いのです。更に残念なことにこれらを治療してお薬をきっちり飲んでいても心臓病の発症を完全にはゼロにできないのが今の医療の現状なのです。

 多くの総合病院にはいろいろな専門外来があると思いますが、完全予約制であることが多いと思います。当院では日本循環器学会認定の循環器専門医が担当する専門外来でありながら「外来予約不要」「診療情報提供書不要」で外来を受診いただくことができます。胸の症状を感じている方はご相談ください。

【胸痛外来の対象患者さん】
以下の症状の患者さんが主な対象です。
① 胸痛(胸が重苦しい)
② 動悸(胸がドキドキする)
③ 失神(気が遠のくようなふらつきがある)
【受付時間】 
8時00分-11時00分(予約不要/月・水のみ要確認) 

備考
他の医療機関からの紹介状(診療情報提供書)をお持ちでない方は、保険外併用療養費(選定療養費)として、初診時に2,500円(自費)を別途ご負担いただいております。

(JCHO札幌北辰病院 循環器内科 髙木覚)

< 戻る     次へ >

「医療の現場から」一覧へ戻る