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医療の現場から『FAIと関節唇損傷』 (2014.10)

FAIと関節唇損傷かがむと股関節が痛い、なんとなくだるい感じがして病院を受診したけど「何ともない」と言われて我慢している。日常生活には困らないけど時々痛だるい…そんな症状はありませんか?もしかしたら股関節に原因があるかもしれません。
股関節は大腿骨側の骨頭と骨盤側の寛骨臼がはまりあってできている関節です。股関節は人体の中でも可動範囲の広い関節ですが、よく動く半面で関節の前方では大腿骨と寛骨臼がぶつかりあうことがあり、これをFemoroacetabular Impingement、頭文字をとってFAIと呼びます。
骨同士の衝突とともに関節唇という骨頭周囲を包む組織が傷つきます。これが関節唇損傷です。症状としては重労働、股関節を捻る動作、しゃがみ動作、車の乗り降りでの痛みといったものから、長時間座っていて痛みがある事や、ただ漠然とそけい部にだるさがある場合、また性交時の痛みというケースもあります。スポーツが引き金となることも多くあり、サッカー、エアロビクス、野球、ゴルフなどしゃがみ動作や股関節を深く曲げる種目で起こります。
痛みを生じる方の多くは大腿骨・寛骨臼の骨形態の異常があります。形態異常のタイプによって2つに分けられています。Pincer type(ピンサータイプ)は寛骨臼の前方への突出や過被覆(骨がかぶり過ぎている)によって衝突するタイプ。CAM type(カムタイプ)は大腿骨頭から頚部に移行する前方が突出することで衝突するタイプです。この2つのタイプが同時に起きているケースもあります。骨同士が衝突する部位で繰り返し関節唇が挟まれて損傷し、痛みを引き起こすというメカニズムになっています。関節唇が傷んだ状態で放置されると軟骨損傷が起こり変形性関節症へと移行すると考えられています。
FAIと関節唇損傷治療はまず痛みを起こす動作を禁止してみるということです。加えてインナーマッスル、コアマッスルの強化に取り組むことで改善が得られます。それでも痛みが強く、日常生活や競技に支障がある場合には手術加療が必要になります。関節鏡手術で関節唇を縫合・修復し突出した骨を削ることで症状が改善します。
FAIはここ最近明らかになってきた病態です。レントゲンだけでは診断がつかず「レントゲンは正常です」「何ともない」と言われ放置している方もいらっしゃると思われます。股関節は症状が出にくい関節で「沈黙の運動器」と言われることもあります。最初は違和感しか症状が無いという事もあるため、おかしいな?と思ったらお気軽に外来へ御相談下さい。

(JCHO札幌北辰病院 整形外科 安藤亮)

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